8時半、バーガーチェーンのお店でパソコンを開いていた。
腸に負担がありそうなマフィンをコーヒーで流し込む。
1フロアしかないところに客が次から次へと入ってくる。
午後からの打ち合わせ用に資料を作成していると、20代前半の女性店員から声を掛けられた。
「混んできましたので、そろそろ・・・お願いします」
店内は満席でヘッドフォンをした若い女性が立ってコーヒーを飲んでいる姿が見える。
心がざわついた。
なぜ俺?
先週の打ち合わせで不満を口にした人がいた。
「会社から私たち社員を大事にしてもらえていない気がするんです。業務委託のあの人ばかり優遇しているように感じる」
隣の芝生は青く見えるんだよな、と心のなかでつぶやいた。
友人からこんなエピソードを聞いた。
50代で転職を考えた知人が4名いた。
会社への不満があるからだという。
50代の転職で給料が増える、待遇が良くなるのは現実的には難しい。
3名は転職を諦めた。
今の職場で不満をやり過ごすことを学び、ストレスが軽減し、楽しく日々を送っている。
1名は転職した。
給料は下がり、新しい職場でも不満を感じて生きている。
断念組は丸くなり、転職した人はトゲがあるままだという。
油のニオイが壁に染み付く店内で、残っていたコーヒーを一気に飲み干す。
自分より前に入った客のほとんどはスマホに視線を落としている。
「他の人にも言ったらどうですか? 大声で全員に向けて言ったら公平ではないですか?」
ぐっとこらえ、店員の脇を通り外へ出た。
