1160 夢見心地

また来られてうれしかった。

二度目の伊勢神宮への参拝は、新緑と明るい日差しに包まれた空間だった。

こどもの日であったこともあり、笹の枝に付けられた和紙製の鯉のぼりを手にした参拝客が多く歩いている。

最初に参拝したのは2022年の秋で仕事が大きく変わるタイミングだった。

陽がまだ昇りきらないころ、内宮の風日祈宮橋を渡り風日祈宮で手を合わせていると涙が止まらなくなった。

これでいいんだよ。

そう言われている気がした。

あれから3年半が経ち新しい仕事も少しずつではあるが軌道に乗ってきた。

今回はお礼参りである。

五十鈴川の上に青紅葉が垂れ、川面が銀色に光っている様を心にとどめた。

「〇〇のてこね寿しは満足度高いです」

外宮から猿田彦神社への行き道で若いタクシー運転手が教えてくれた。

3年半前に来たときは、てこね寿しを食べ損なった。

伊勢志摩国立公園のリアス式海岸を見たあと、物産館に立ち寄ったら地元の人が言った。

「今の時期はかつおは冷凍だからね」

その言葉がひっかかり、たしかマグロ丼にした覚えがある。

おかげ横丁の〇〇で食べたてこね寿しはタクシー運転手が言うほど満足度が高かったわけではなかったが、地元の人が太鼓判を押すものを食すことができたことが心を満たした。

難波へ向かう電車は昼時の急行列車だった。

暖かい陽と揺れに誘われ、本を持つ手が何度も下がった。

右手奥に4人家族が座っているのが見える。

真っ黒に日焼けしたお父さんはこちらに向かって口を開いて寝ている。

夢見心地というのはこういうことなんだろうなと思いながら、慣れない土地へと戻っていった。

経営経験やコーチングの実践を通じて、深い対話により経営の選択肢を広げ、納得感のある意思決定をご支援しています。また、組織やチームの関係性を育む支援に取り組んでいます。3Cサポーター/中小企業診断士
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