『思い出トランプ』(向田邦子著/新潮文庫/1983年)

何をもって完となすのだろう。
短編を読んでいるといつも思います。
読み慣れていないからなのですが、その描写で何を伝えたいのかイマイチ掴めないときがあります。
本書は直木賞を受賞した作品を含む13編が収録されています。
巻末の解説で水上勉さんは向田さんを「独自の『人生切り取り絵図』に才を傾けていた孤独な画家」と表現しています。
そして、こう書いています。
「短編を勉強したい方があるなら、この『思い出トランプ』の一、二編を写してみられるといい。手頃の枚数だ。私のいっていることがよく理解されるはずだ。向田さんはつまり、そういう作品をのこして亡くなった。」(p. 245)
さっそく『かわうそ』と『はめ殺し窓』を原稿用紙に書き写してみました。
日常のなかで感じる心の動きを、会話や過去の回想を交えながら表現していく。
それが作品となるということがなんとなくわかりました。
向田さんの作品にはユーモアがあります。
読んでいてもクスっとなるのですが、書き写しているとそれがよくわかります。
ただ、短編はエッセイほど強い印象が残りませんでした。
何度か読み直さないと良さがわからなそうです。
もう何編か筆写してみたいと思っています。
