夕方、駅から外に出るとけたたましい音があたりを包んでいた。
前を歩く男性が見上げている。
つられて視線を上にやると、小さく白の飛行機が見える。
あれだけ遠くてこんなに大きな音がするわけない。
真上に視線を移すと一定の位置でとどまるヘリコプターがあった。
激しく回るプロペラの下の丸みの物体が微動だにしない様が不思議だった。
八王子は横田基地が近いため飛行機が旋回する光景はよく見るが、この距離のヘリコプターは滅多に見かけない。
事件か。
家に向かって歩いていると、ヘリコプターが少しずつ動きはじめた。
なんだか同じ方向へ進んでいる。
え、追ってきている!?
自分がマークされているのか。
それとも前を歩くあの男性か。
米国のニュースでよく犯人をヘリコプターで追跡する映像がある。
しばらくすると車道を1台のパトカーが穏やかに通り過ぎていった。
どうやら探し人は私ではなさそうだ。
左に目をやると、浅川の先で高尾の山を濃いオレンジに染める夕日があった。
翌朝、新聞に小さな記事があった。
「貸金庫開けられ4億円超被害か 東京・八王子、窃盗で捜査」
そうか。
