『組織と働き方の本質』(小笹芳央著/日本経済新聞出版/2025年)

以前から気になっていた本です。
「ウェルビーイング」に関して考えを深めるために手に取りました。
「組織」や「働き方」となると、その時々により考え方に流行があります。
ワークライフバランス、ジョブ型雇用、人的資本経営、ウェルビーイングなど。
でも、本当に大事なことは何か?を突き詰めて考えると、そういった外側の考え方ではなく、案外シンプルなことが重要である。
そういった趣旨の内容です。
本書からの学びとして2点あります。
1点目は、ワークライフバランスの考え方です。
仕事とライフをそれぞれバランス(均衡)させる。
それ自体は正しいが、それぞれの輪が小さいとそこで留まってしまうことになる。
「大切なのは、バランスした均衡状態に安住することなく、ワークでもライフでもいいので、その均衡状態を自ら壊して、どちらかの円を大きくすることを考え、実行することです。」(p. 121)
一方の円が大きくなれば、それにバランスさせるためにもう一方も大きくしていく必要がある。
小さな円を大きな円に作り変えていきながら、成長を促すということです。
例として挙げていたのは、ローンを組んで車を購入しドライブを楽しみながら、そのためにしっかり働く。
こういう考え方はいいですね。
私も欲しい車があるので、そういうマインドを持っていきたいと思いました。
2点目の学びは、組織変革では「臨界点」があるということ。
組織を良い方向へ変えていこうとするとき、トップのリーダーシップが欠かせません。
でも、最初のうちは一部の社員しか賛同しない。
賛同者・行動者が徐々に増えていく中で、ある「臨界点」に達したときに組織全体の変革が急速に進む。
「経営トップが意志を持って笛を吹き続け、何があってもブレずに、辛抱強く、孤高に耐えて、変革の臨界点を超えるまで継続する覚悟と行動が必須なのです。」(p. 196)
この考え方を支援の中で取り入れていきたいと思いました。
なかなかスタッフの意識は変わらず焦ることもありますが、時間がかかること、最初は少人数の賛同から始まること、臨界点まで粘り強く進めることを肝に銘じていきたいと思います。
本書からの学びはありましたが、全体を通して物足りなさが残りました。
タイトルに「本質」とありますが、その言葉の深さほどの内容ではないという印象です。
どちらかというと、組織や働き方の「ベースとなる考え方」の方が合う感じです。
