『Our Dollar, Your Problem』(Kenneth Rogoff著/Yale University Press/2025年)

基軸通貨としてのドルの覇権はいつまで続くのか?をテーマにしています。
ドルがどのようにして圧倒的な地位を築いたのか、現在はどういう問題が起きているのか、今後は何が課題となるのかが書かれています。
著者は元IMFチーフエコノミストで、現在はハーバード大学教授です。
ドルに対抗できる通貨はあるか。
円は無理、ユーロも厳しい、人民元は政治・経済体制を考えると厳しい。
当面はドルが続くだろうとしています。
ただし、米国も課題が増えています。
基軸通貨を持っている国としての特権はいろいろあります。
海外から資金が入ってくるし、国は借金をしやすい。
最近では借金が増え長期金利も上がってきている。
他国へ通貨での制裁をする力もありますが、それはドル離れを加速させることにもつながっている。
全体的にはドルの支配力は低下しています。
著者は、ドル覇権が崩れるとしたら、要因は国内からだろうと指摘しています。
過信と傲慢さが命取りになると。
米国の債務は膨れ上がっており、これに対処していかないと世界を巻き込んだ問題になりかねないと。
「If runaway U.S. debt policy continues to crash up against higher real interest rates and geopolitical instability, and if political pressures constrain the Federal Reserve’s ability to consistently tame inflation, it will be everyone’s problem.」(p. 291)
(意訳)
もし制御不能な米国の債務政策が、高い実質金利や地政学的な不安定性と正面から衝突し、さらに政治的圧力によってFRBが一貫してインフレを抑える力を失えば――それはアメリカだけでなく、世界中すべての国の問題になる。
印象に残った点としては、基軸通貨を発行する国は軍事力が強大でないといけないというところです。
軍事力により政治的・経済的な安全保障を提供できる立場が求められます。
軍事力を維持するには相当なコストが必要であり、財政が厳しくなる中で、軍事にも予算をつけないといけない。
財政が厳しくなれば、金利も上昇するし、国民の不満も出かねない。
ドル覇権は特権だけでなく、課題も多いということがわかりました。
