『出版は企画が9割』(山田稔著/つた書房)

本書は、「ビジネスを加速させるための出版」とはどういうものかについて書かれています。
ターゲットとする読者は、商業出版をしてビジネスを加速させたい人です。
著者の山田稔さんは書籍編集者でもあり、業界の中からの視点も提供してくれています。
書籍を作るには、1冊あたり300万円程度コストがかかるといいます。
出版社がこの300万円を回収するには、最低3000部は売れないといけない。
本を書く側として「本を出したい」と安易に考えてしまいがちになりますが、出版社が大きなリスクを背負っているということも押さえておく必要がある。
出版社が著者のコンテンツに対して「300万円の投資」ができるかどうか。
こう考えると、本を書きたい人はある程度の責任と覚悟がなければいけないということが理解できます。
「大事なことは、出版社から投資してもらえるかどうかではなく、投資してもらって出版することで、自分のビジネスが加速すること。言い換えれば、そうなるような企画に対して投資してもらうことです。」(p. 41)
本を出して終わりではなく、その先に自身のビジネスにつながるようにしたい。
そういう観点からすると、自分に合わない内容の本は出すべきではない。
「たとえ編集者から他の企画を提案されたとしても、それが自分のビジネスを加速させそうなものでないとしたら、その提案を跳ね除けられる強さが大事なのです。」(p. 42)
商業出版を目指すことを目的にした場合、電子出版は避けるべきだといいます。
理由のひとつは、クオリティが低くなるということです。
商業出版は編集者が介在する分、様々な視点からチェックが入り内容も磨かれていきます。
電子出版は著者のみで原稿が完結してしまうため、クオリティが担保されません。
これはマイナスになる。
他の理由として、ブランディングになりづらいことも挙げています。
「商業出版は、あなたの持っているノウハウに対し、他人から300万円の投資をする価値があると言われたという証明です。」(p. 53)
このポイントは深いと思いました。
300万円の投資をする価値があると思われた本が書店に並ぶ。
私は本が大好きなのですが、最低でもこのくらいのクオリティが担保された本を手に取りたいです。
そう考えると、出版のプロ達が「価値がある」と思ってもらうということは、最低限必要なプロセスであるということを納得しました。
個人的には、それが出来ないなら本を出せなくてもいいとすら思います。
本書を参考書のように傍に置いておきたいと思います。
