以前読んだ組織開発をテーマにした本の中で「対立解決セッション」という考え方が出てきました。
部門間での対立を解決する手法です。
立場や意見が対立している当事者同士が、お互いの見方を共有し理解を深め建設的な対話に進むための場づくりです。
機会があったらこの手法を試してみたいと思っていました。
そんなとき、ふと以前観た映画のことを思い出しました。
『ベスト・オブ・エネミーズ』です。

1970年代のノースカロライナ州では人種隔離政策が取られていました。
白人側と黒人側の住民の対立が根深い中、白人代表としてKKKの支部長、黒人代表として公民権運動家が共同で議長を行い住民が話し合う場が持たれました。
ファシリテーターが双方のグループの話し合いに介在していきます。
互いに歩み寄れない状態が続きますが、人種ではなく、「人」として思いやりを示す場面がいくつかあったことで、次第に代表者同士の距離が縮まっていったという実話に基づくストーリーです。
映画の中でのグループ同士の話し合いは「対立解決セッション」と同じではないのかと疑問が生じました。
調べてみると、この映画の中で使われていたものは「シャレット方式」というものだそうです。
シャレット方式とは、「1週間程度という短期間で、異なる専門領域の人たち(20人前後)が、行政・住民と何度も議論を重ねながら、具体的な計画案を練り上げ、最終的な合意形成を目指す方法」です。
都市計画の際に使われるやり方のようです。
これをやることで住民側も当事者意識を持つことになるため、開発がスムーズに進むことが期待されます。
「対立解決セッション」と「シャレット方式」には重なり合う部分も多いと感じました。
互いの捉え方を共有して理解し合いましょうということですよね。
自分の捉え方と相手の捉え方が異なるという認識から出発し、お互いがお互いをどう感じているかも共有する。
それがあってはじめて建設的な前向きな議論ができるようになる。
向かう方向性が組織づくりなのか、都市づくりなのかの違いがあるだけで、本質的には相互理解の場づくりということです。
学んだ考え方や手法から、以前観た映画や読んだ本のことを思い出し、それらがリンクしていく。
こうなると学びも楽しくなってきます。
組織開発の視点で『ベスト・オブ・エネミーズ』を観返してみたくなりました。