『新しい世界の資源地図』(ダニエル・ヤーギン著/東洋経済新報社)

ピューリッツァー賞を受賞した経歴を持つ著者が、世界のエネルギー、自動車、気候変動の動きを説明しています。
米国のシェール革命で起きた変化、ロシアのエネルギー事情、中国の一帯一路や南シナ海問題、中東の石油需要枯渇への危機感、電気自動車や自動運転の進展、気候変動対策で求められる再生可能エネルギーなど、エネルギーを軸とした内容となっています。
原書は2020年に出されています。
その後の2022年のロシアのウクライナ侵攻や、2023年のイスラエスとハマスの紛争により、本書に書かれている内容の流れも変わってきていると思います。
それでも、2020年時点で世界情勢がどういったものであったかの理解には役立ちます。
著者が最後にこう記しています。
「気候変動が新しい地図の決定的な特徴になったことにより、エネルギーと国家の関係に新しい時代が開かれようとしている」(p. 518)
気候変動というテーマが軸になって世界の「地図」が形作られていくのは間違いなさそうです。
立場によりさまざまな思惑が入り乱れていく世界で、これからどのような未来が待っているのか。
関心を持ち続けたいテーマです。
著者には定期的にこのような世界の「地図」を解説してもらうことを期待したいです。