『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』(モーガン・ハウセル著/三笠書房)

この本はとにかく素晴らしい。
人生の知恵が詰まっている本です。
自分の物事の捉え方が書き換えられていくのを感じながら読み進めました。
ここ数年で読んだ本の中でも上位3に入るくらい私にはインパクトのある本でした。
1年後にまた読み返したら、今とは違う視点での気づきが得られそうな気がします。
気に入った考え方を記しておきたいと思います。
(第3章)「期待値」と「現実」のギャップ
「幸せな人生を送る第一の法則は、期待しすぎないことだ。」(p. 73)
期待値が大きすぎると現実との間のギャップで感情が揺さぶられるため苦しくなる。
自分の期待を制御する術を知ることが大事ということです。
(第4章)「常識外れ」とは何か
「信じられないようなことを成し遂げられる人はたいてい、同じくらい強烈に裏目に出る可能性のあるリスクをとっていることを理解する必要がある。」(p. 84)
尊敬する人、真似をしたい人、憧れる人がいても、その人には苦しい部分やマイナスの部分は必ずある。
他人をうらやましがることもありますが、その人のマイナス部分も含めて100%入れ替わってもいいと思えないなら、嫉妬しても意味がないということです。
(第6章)勝つのは「最高の物語」
「最高のアイデアでも、正しいアイデアでも、最も理にかなったアイデアでもない。たいていは人々の注目を引き、賛同させるような『物語』を語る人が利益を得られる。」(p. 108)
新しいものを生み出さなくとも、自分らしい切り口で要約して語ればいいということです。
(第7章)「数値化できなこと」の中に真実がある
「測定できないもの、予測できないもの、表計算ソフトでモデル化できないものこそ、ビジネスや投資のあらゆる面において最も大きな力となることは明らかだ。」(p. 138)
データに固執する人も多いですが、数値化できないところにこそ本質があるということです。
(第9章)もっと多く、もっと手っ取り早く、もっと急いで
「素晴らしい価値があるもののほとんどは、忍耐と希少性という二つから得られる(中略)価値あるものにまで育てるための忍耐と、その忍耐の結果、作られた希少性だ。」(p. 170)
人の成長と同じですね。
(第14章)完璧主義者が失っていること
「完璧でありすぎない状態が、実は最もバランスがよいのだ。」(p. 231)
仕事では効率を求める傾向がありますが、たとえば散歩しながら考える時間を持つことも大事だということです。
ちょっと非効率であるくらいの方がいい。
(第15章)成功にはコストがかかる
「コツや近道があると思わずに、必要なときは痛みに耐える」(p. 244)
「コツは確かに魅力的だ。なぜなら、努力せずに目標に到達できる道のように見えるからだ。しかし、現実の世界に、そんなものはほとんど存在しない。」(p. 245)
噛み締めたい言葉です。
(第17章)未来はいつも驚異に満ちている
「二つの小さなものが組み合わさったところで大したものにはならないと過小評価しがちだ」(p. 278)
「いくつかの平凡なスキルを適切なタイミングでかけ合わせた人は、一つのことを専門にしている人よりも何倍も成功したりする。」(p. 278)
小さなものであっても、2つ以上を組み合わせることが大切ということです。
(第20章)「経験」ほど説得力のあるものはない
「実際に経験してみない限り、全体の状況を想像するのは難しい」(p. 311)
頭で考えるよりも、経験が勝るということです。
(第21章)「長期的な視野」に立つには
情報には「普遍的」なものと「期限つき」のものがある。
ニュースなどの情報は「期限つき」。
人がどのように行動するかなどは「普遍的」。
「よい本を読めば、どのニュースに注意を払うべきか、払うべきではないか判断しやすくなる」(p. 321)
SNSからの情報が多い今の時代は、とくにこの視点は大事だと思います。
(第22章)複雑にすると裏目に出る
「シンプルなほうが実際にはよい結果をもたらすにもかかわらず、知的好奇心をくすぐるがゆえに複雑さのほうが好まれる」(p. 326)
「重要なわずかな事項さえ押さえておけば、準備は完璧だ」(p. 327)
専門家ほど複雑にしたがる傾向はありますよね。
その方が「賢く」見えるから。
本質はシンプルさにあるということです。
(第23章)外傷は癒えるが、心の傷はいつまでも消えない
「意見の不一致は、人々が『何を知っているか』よりも、『何を経験したか』に深く関係している。」(p. 348)
最近、あの人はなぜこんなことしたんだろう?と思ったことがありました。
その人のこれまでの経験からそういう言動になっているんだと捉え直したとき、その人を受け止められる気がしました。