『中国不動産バブル』(柯隆著/文藝春秋)

情報番組で中国がテーマになるとコメンテーターとして見かける柯隆さん。
柯隆さんが出ていると話を聞きたくなります。
中国の経済がコロナ前のようには戻らず、不動産バブルが崩壊。
中国の経済が今後どうなっていくのか気になっていました。
なぜ不動産関連で問題が発生したのかイマイチわからなかったとき、柯隆さんの本が発売されたので手に取りました。
まず、中国では自分の土地を持つことができない。
所有できるのは建物。
土地は国のものなので、道路を敷くなどの必要性が出てきた場合、強制的にその建物を取り壊すこともあり得るといいます。
中国の人たちのマイホームに対する思い入れが強く、マイホームを所有しているかどうかが若者の結婚の条件にすらなる風潮もあるようです。
富裕層は資産形成の手段として複数所有。
中間層はローンを組んでマイホームを購入。
そんなときに中国のGDP3割を占める不動産業で不動産バブルが崩壊。
不動産バブル崩壊のきっかけは2つあると指摘しています。
1つは政府トップが家は投機の対象ではないと呼びかけたこと。
もう1つはコロナ禍での消費の落ち込み。
コロナ禍では厳しい隔離措置などのゼロコロナ政策が取られたことにより、国民は消費性向が楽観的なものから防衛的(貯蓄など)なものに変化し、不動産需要が落ち込むことに。
「富裕層と中所得層は海外に移住しようと手持ちの不動産物件を売りに出し、不動産市場は供給過剰になった」(p.7)
コロナ禍で中国の人たちの消費性向が変わったというところが印象に残りました。
以前は、「爆買い」なんて現象もありましたが、最近はあまり聞かなくなりました。
この数年という短期間で、確実に物事が変化しているということがわかる例です。
政府や構造的な問題も指摘されています。
「コロナ禍が中国社会に与えたもっとも深刻な影響は、人民が政府を信用しなくなったこと」(p.198)
「中国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)はさほど悪くなっていない。にもかかわらず、経済にここまで急ブレーキがかかっているのは、明らかに政策のミスと制度の運用面の問題によるところが大きい」(p.226)
本書で中国の抱える問題点を知ることができました。
