物の値上がりがまだまだ続いています。
昨年から値上げのニュースが相次いでいますが、この6月にも食料品など約3500品目の値上げが予定されています。電気代も上がります。
あるスーパーで卵を200円で販売する「特売」を行なったら、大盛況だったようです。
卵1パック200円は以前であれば「特売」の値段ではないですよね。近所の大手スーパーでは160円前後で売られていたこともあるので、それから考えてもいかに物の値段が上がっているかがわかります。
サービス分野での値上げも相次いでいます。
消費者の立場では厳しい状況が続きますね。
事業者側の立場で見ると仕方ない部分もあります。
ご支援している事業者さんの状況を伺うと、材料費の高騰はかなり深刻です。中小、特に零細企業は赤字になっているところも多く、このコスト増はかなり厳しい。
これに輪をかけて、賃上げ圧力もある(賃金を上げないと人も集まりにくいですしね)。
そうなると販売価格に転嫁していかなければなりません。
とは言うものの、価格への転嫁はそんな簡単ではありません。お客様に密接に関わっている事業者さんほど、少しの値上げでお客様が離れていくリスクに恐怖心を抱く社長さんも多いです。
価格に転嫁できないとなると、コストを切り詰めるしかありません。仕入れ先を変えたり、材料の質を下げたりするケースもあります。
日経新聞(2023年6月1日)で興味深い記事が出ていました。
アメリカでも物価が高騰していますが、この値上がり分は、「コスト増」(材料費や人件費など)より、「利益増」が大きいのではないかと。
つまり、事業者はコストが増えた分以上に、自社の利幅が増える形で値上げをしていると。
値上げにより利幅は増えたが販売数量が激減した事業者もあります。その中で安売りスーパーであるウォルマートは直近期で2桁近い増収です。
ある家具店では、遠のいてしまった客足を戻すためにセールを行なったようですが、反応がいまひとつだったと紹介されていました。
この記事を読んだとき、消費者はシビアだと感じました。
どこもかしこも値上げしている状態の中、「適正な値上げ」なのか肌感覚で感じているのではないでしょうか。
ある程度の値上げは受け止めてはいるものの、過度な値上げと感じたとき、またはこの状況でも価格を据え置いている企業努力を見たとき、消費者の支持がどこへ向かうのか。
食料品で、価格は変えず容量を減らすパターンがあります。「ステルス値上げ」とも呼ばれます。これに対する消費者の不満度は高いと言われています。
コスト増を価格へ転嫁できていない中小零細も厳しいですが、価格へ転嫁できている事業者も、のちのちお客様が戻らないというリスクもあります。
いろいろな事業者さんを見ていると、お客様に対して誠実に商品を提供している事業者さんほど長期的には安定しているように感じます。