『イスラエル 人類史上最もやっかいな問題』(ダニエル・ソカッチ著/NHK出版)
イスラエル・パレスチナ問題を理解したくてこの本を読みました。
この本はとてもわかりやすい。
今まで何度かイスラエルで何が起きているかを知りたくて勉強しようと思ったことはあるのですが、なかなか理解できずにいました。
そのときはわかった気がするのですが、あまりイスラエルに関して触れる機会がないため、どうしても理解が進まずさっぱりわからない状態に戻ってしまいます。
そんな自分には、この本はとてもわかりやすく、ずっと手元に置いておきたいと思う本になりました。
宗教観、歴史、紛争、隣国との関係などがわかりやすく、順立てて書かれています。イスラエル・パレスチナ問題についてあまり知識がなくても、これを読むことで何が起きているかがわかります。巻末には用語集もついています。
19世紀にヨーロッパで暮らす多くのユダヤ人が、迫害を逃れてこの地(「約束の地」)に移りすんできました。そこにはすでにパレスチナ人がいました。
ユダヤ人はこの地で祖国を作りたかった。パレスチナ人からすると、外から入ってきたユダヤ人に祖国を奪われたことになる。
紛争が絶えない中、1948年にこの地でユダヤ人によりイスラエル国家が建国されます。
イスラエル建国の父といわれているダヴィド・ベン=グリオンさんはこう語ったそうです。
「たしかに、神はわれわれにその地を約束してくれたが、彼らにしてみればそれが何だというのだろう? 反ユダヤ主義、ナチス、ヒトラー、アウシュビッツなどが現れたが、それは彼らのせいだったのだろうか? 彼らが目にしているのはただ一つ。われわれがこの地にやってきて、彼らの国を奪ったということだ」(p.92)
それでも、現在に至るまで紛争が繰り返されている。
イスラエルに住むユダヤ人、パレスチナ人、双方にとってこれまでに受けてきた傷の深さがわかります。
そして、その傷の深さが余計状況を難しくしています。まさに「人類史上もっともやっかいな問題」になっている。
こんなにも複雑に絡み合った糸をどのようにほどいていくのか。
イスラエルでの紛争に関するニュースを見たら、必ずこの本に立ち返ろう。
わからないことがあったら、この本を参考書代わりにしていこう。
まずは関心を持ってイスラエル・パレスチナ問題に触れていくことが大事なのだと思いました。