こんにちは、3Cサポートの平山です。
中小企業で突然社長が倒れ、従業員の誰かが突然引き継がないといけなくなった場合、どこから手をつければいいのか。
中小企業の中でも、従業員数の少ない零細企業では特に深刻です。どこから手をつけていいか全くわからないということも考えられます。
今回は、もしもそのような事態が零細企業で発生した時に、後継者は何をしていけば良いかを考えていきます。
目次
零細企業で突然の事業引き継ぎ
零細企業は社長が要です。社長のスキルや営業力に依存しており、資金繰りも社長の個人資金で急場をしのぐということもあります。
社長にもしものことがあったら。考えたくはない部分ですが、それでも想定しておかないといけません。
まずは、データから見ていきます。
零細企業の数
零細企業(小規模事業者)は、日本に約305万者あります。これは中小企業全体の8割以上を占めます。
社長の平均年齢
社長の平均年齢は年々上がっており、2021年では62.77歳となっています。構成比では、70代以上が32.7%を占めます。
平均寿命と健康寿命
平均寿命を見ていくと、男性は81.41歳、女性は87.45歳です(2019年)。
健康寿命という考え方もあり、これは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを指します。
男性の健康寿命は72.68歳であるのに対し、女性は75.38歳になっています。
零細企業の社長の多くが男性です。社長が70代以上の会社は全体の3割弱を占めるため、社長の健康上に問題が出ている零細企業も多いことが想像できます。
突然の事業引き継ぎ:①現状把握
では、社長が倒れ、突然後継者として事業を引き継ぐことになったらどうすればいいのでしょうか?
まずは現状を把握するところから始めます。
会社は回るか
まずは、会社が通常通り回っていくかを確認します。お客様へ滞りなく商品・サービスを提供できるか。
社長がいないと回らないことはあるのかどうか。通常業務で支障が出る部分があるなら、どういった対応をしなければならないかなどを確認します。
資金繰り
資金繰りは早めに確認しましょう。資金があれば会社は何とかなります。資金が尽きれば終わりです。
とはいうものの、後継者がいきなり資金繰りを把握できないことがほとんどだと思います。知識が不十分なことも多いです。
経理担当者、顧問税理士と検討することになります。
協力者
協力者は誰かを把握しておくといいでしょう。社内で頼れる人は誰か、社外で相談できる人は誰か。
社外では、まずは顧問税理士に相談しましょう。顧問税理士と会社の関係性が深ければ親身になってサポートしてもらえるはずです。ただ、関係性が希薄だとそこまでのサポートは得られないかもしれません。
社長不在の影響
零細企業は社長で成り立っている部分も大きいため、社長がいなくなることでどのような影響が出るか確認したいです。
一番は資金繰りです。あとは、お客様との関係性でしょうか。
従業員
零細企業は従業員が少ないため、一致団結して事に当たらないといけません。誰が何に対応するかなど、チームをまとめあげることが後継者には求められます。
営業先
社長が営業回りを担っているケースが多く、後継者が営業先を全て把握できていないことも考えられます。営業先をざっと把握しておきたいです。
仕入れ先
仕入れ先はどこか、支払いはいつまでにしないといけないかを押さえておきます。経理担当者が把握をしているとは思いますが、資金繰りと合わせて確認しましょう。
金融機関
金融機関からの借入がどのくらいあるのか、どこの金融機関から借入をしているか、毎月の返済額はどのくらいかを把握します。
突然の事業引き継ぎ:②まずは会社が回る状態に
現状把握をしたのち、まずは会社をしっかり機能させる状態にしていきたいです。
受発注
お客様からの受注は今後も続いていきます。社長の携帯電話等で受注している先があるのであれば、そこには事前に連絡を入れておくことも必要になります。
在庫を抱える事業を行なっているのであれば、在庫を切らさないように管理することも大切です。社長が発注をしているケースもあります。他の従業員が発注の仕方をわからない場合も考えられます。その場合は、発注先へ連絡し、事情を説明し、発注の仕方を確認しましょう。
資金
資金繰りが厳しい会社も多く、早めに確認・対処しておきたいです。支払い日はいつで、支払額はどのくらいか。資金に余裕はあるのかどうか。
顧問税理士に相談し、金融機関とも早めのコミュニケーションを図ります。資金繰りが厳しい場合は、どう対応すればいいかまずは両者からのアドバイスを受けると良いでしょう。
突然の事業引き継ぎ:③ 社長不在で失ったものの穴埋め
ある程度、会社が通常通り回る状態が確保できたら、今後のことを考えていきます。
零細企業の多くは社長への依存度が高く、社長不在により失うものはとても大きくなりがちです。
例えば、社長が営業を一手に引き受けている場合です。お客様から支持されている理由が社長自身にある場合、今後は注文が入らなくなることも覚悟しないといけません。
社長が製品作りや発注を一人で行なっていた場合、どこまで引き継げるかも不確定要素です。
後継者は、社長不在により失ったものをどう穴埋めしていくかを考えていく必要があります。
自社リソースでできること
穴埋めをしていく際に、社内のリソースでできることを考えます。
例えば、営業先の把握が必要であれば、従業員全員で手分けし確認作業をしてもいいでしょう。
ある会社の話です。顧客への支払い管理を一人で担当していた人が突然データを消去し辞めてしまいました。支払い管理に関する情報が全くなくなってしまったため、残された従業員が手分けをして一件一件顧客へ電話して支払いの詳細を確認することになりました。中堅企業でも起こり得ます。
外部リソースの活用
穴埋めをしていくために、自社リソース以外にも、外部のリソースも活用できます。
社長と交流のあった専門家、金融機関担当者、商工会議所、業界団体、取引先など、外部からサポートしてもらえる人を見つけていくことも有効です。
▼参考
事業承継の際に後継者が作りたい今後の事業に関する計画|後継者向け
まとめ
零細企業の社長が倒れ、突然事業を引き継ぐことになった後継者がまず何に取り組んでいくかを考えてきました。
会社の事情によっても異なります。後継者がどの程度経営に近い仕事をしていたかでもやれることが変わってきます。従業員数、それぞれの役割、外部関係者とのつながり有無によっても違うでしょう。
一番大事なものは資金繰り。ここはいち早く確認しておきたいです。
そして、通常通り商品をお客様へ届けられるか。
社内だけでなく、外部からも協力してくれる人は見つかりますので、積極的に支援を求めていくといいのではないかと思います。