こんにちは、3Cサポートの平山です。
ご支援先の社長から「補助金を活用したいが、申請書をどう書けばいいかわからない」というご相談を頂くことがあります。
金融機関や商工会議所等から補助金の案内もあるようですが、申請の仕方がわからずそのままになっているケースもあるようです。
ここでは、補助金の申請書の中で一番重要な「事業計画書」(経営計画書/補助事業計画書など)を書く上で、盛り込みたい視点のひとつをご紹介します。
*ここでいう申請書とは事業計画書に関することを指します
目次
補助金の申請書は難しい!?
採択されるとは限らない
「補助金の申請書を書くことは難しい」というイメージを多くの方が持っているようです。
理由の一つとして考えられるのは、一生懸命書いても採択されないことが多いからです。
補助金というのは、申請書を提出したあと、審査が行われます。どのくらい採択されるかは補助金の種類によってバラバラです。
「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」の採択率は30〜50%くらいです。比較的採択されやすいと言われている「小規模事業者持続化補助金」は50〜70%です。申請枠によっても異なりますし、毎回の公募でも採択率は異なります。
採択率が50%だとすると2つに1つは採択されます。これだと「まあまあハードルは高くない」という印象を持つと思うのですが、何度申請しても通らないという事業者は多いです。
審査する側の視点を想像する
申請書を審査する人がいます。その立場になって考えると、採択されやすい申請書とそうでない申請書の違いがイメージしやすくなります。
詳しくは触れませんが、簡単に言うと、
必要とされる情報が、簡潔に、読みやすく書かれている
これが大事になります。審査する人たちは何件も申請書に目を通します。ある審査の基準に沿って審査します。その基準に合致していなければ採択されません。そして、いくら基準に合致した必要な情報が網羅されていても読みにくい申請書より読みやすい方が審査もしやすいはずです。
(参考)「必要な情報」とは、『公募要領』の中にある「審査項目」で要求されている情報全てを指します。
必要な情報をまとめることが難しい
そうは言っても、必要な情報をまとめることが難しい。
情報を羅列するだけであれば良いのですが、「事業計画書」という形でまとめていかないといけません。そこが難しい要因になっています。
では、どのように書いたらいいのか?
サンプルは参考になるが・・・
補助金によっては書き方の例となるサンプルがホームページに載っています。
補助金によってはこういったサンプルがない場合があります。また、サンプルがあっても、実際にこの通りに書いて採択されるとも限りません。
補助金の申請書を「ストーリー」で書く
申請書が書きづらいと感じるようなら、まずは「ストーリー」を考えることをおすすめします。
「ストーリー」とは
「ストーリー」とは、「物語」のことです。
申請書で伝えたい物語は、自社の状況がこの補助金を活用することでどういう未来になるかです。
「ストーリー」は読みやすい
「ストーリー」を意識して申請書を書く一番の大きなメリットは、読み手(審査員)が読みやすくなるということです。
審査する人は恐らく事業計画書を読むことに慣れているはずです。「ストーリー」のない事業計画書もたくさん目を通していることでしょう。それでも、読みにくいものよりは、読みやすい方がいいです。しかも、そこに「ストーリー」がある方が読んでいて楽しくなりますし、共感もしやすくなります。
「ストーリー」は書きやすい
事業計画書というと堅苦しいイメージを持つ方も多いです。難しい言葉や数字が多く、読んでいて面白みもないと。
でも、「ストーリー」と捉えると書きやすく感じませんか?
自社の状況を第三者に語りかけると思えば、申請書も書きやすくなります。
「ストーリー」は思いが伝わりやすい
私は補助金の審査経験があり、多くの申請書に目を通してきました。
「ストーリー」のある申請書は、事業者の思いが伝わってきやすいです。
綺麗にしっかり書かれている申請書は多いですが、事業者の思いが伝わってこないものも多いです。恐らく、何かのフォーマットに情報をまとめているだけだからでしょう。
事業者の思いが伝わってくると、その事業者を応援したくなるものです。
「ストーリー」を意識した補助金の申請書の書き方
では、どのように「ストーリー」を申請書に盛り込んでいくかを解説します。
「ストーリー」を考える
まずは「ストーリー」を考えます。
大きく分けて5つの項目に分けます。
- 現在
- 現在の自社の状況を整理します。
- ありたい姿
- 理想とする自社の状況を思い浮かべます。
- 課題
- その理想とする状況を実現するために乗り越える課題は何かを考えます。
- どのように
- どのように課題を乗り越え、どのように理想の状況に到達できるか洗い出します。
- 補助金の活用と効果
- 理想の状況のために補助金をどのように活用し、それによりどのような効果が得られるかを考えます。
これが補助金申請の軸となる「ストーリー」の構成要素です。
「ストーリー」の例
「ストーリー」をこのように作っていきます(一例です)。
現在事業が 〇〇〇〇(現状)な状態で、 今後は 〇〇〇〇(ありたい姿)のような状態にしていきたいと思っています。 なぜなら 〇〇〇〇(理由)だからです。 そのために、この補助金を活用して 〇〇〇〇(補助金の活用)の取り組みを行い、 〇〇〇〇(課題)の課題を 〇〇〇〇(どのように)することで解決します。 そして、お客様に 〇〇〇〇(商品・サービス)を提供し、 〇〇〇〇(ありたい姿)を実現したいと考えています。
例)ラーメン店
「コロナ禍で客足が鈍っていましたが、少しずつ回復しています。ただ、材料費高騰もあり利益率が下がってきています。今後は、提供するラーメンの値段を上げていく必要があります。このままでは具材の質を下げざるを得ません。そのために、この補助金を活用して新商品の開発に取り組み、付加価値を高めることで値上げを実行していきます。そして、お客様に満足いただけるラーメンを提供し、値上げしても繁盛するお店づくりを実現したいと考えています。」
このように、ざっくりとで構わないので「ストーリー」を書き出してみてください。
「ストーリー」に沿って必要な情報を肉付けする
「ストーリー」の骨子ができたら、あとは必要な情報を肉付けしていきます。
ただし、補助金の申請に使用する事業計画書の様式が、必ずしも「ストーリー」通りの順番で書けるとは限りません。
大事なことは、この「ストーリー」を意識して書いていくということになります。
そして、書き終わったら、全体的に「ストーリー」に沿って情報がまとまっているかも確認していきます。
○ 必要な情報は『公募要領』を確認
前にも触れましたが、必要な情報は『公募要領』の「審査項目」を確認します。申請書に何を盛り込む必要があるかが書かれています。
補助金の種類によって求められることが変わってきますので、『公募要領』はしっかり読むことをおすすめします。
「ストーリー」を誰かに読んでもらう
「ストーリー」を意識して申請書が書けたら、誰かに読んでもらいましょう。その際には、「ストーリー」がしっかり伝わるかどうかフィードバックを受けることもお勧めです。
社員や家族でもいいですし、金融機関の担当者に見てもらってもいいと思います。商工会議所等の相談員に見てもらうのもいいでしょう。
「ストーリー」がしっかり出来ている申請書ほど、ビジネスに関係しない人でも読みやすいものです。
まとめ
補助金の申請書(事業計画書)は、「ストーリー」を意識すると書きやすくなります。また、この視点で書かれている申請書は、読み手も読みやすく、思いも伝わるので共感しやすくなります。
体裁の取れた数字がしっかり書かれた事業計画書を目指すのではなく、ぜひ自身の事業をどのようにしていきたいかの「思い」を伝えることを目指してください。
「小規模事業者持続化補助金」に特化していますが、申請書の書き方の考え方は共通していますので、こちらも参考にしてください。